4月1日関空民営化!再始動した関空に未来はあるか?

      2016/06/19

2016年4月1日、ついに関西国際空港(通称:関空)の運営権が売却が完了し、新関西国際空港株式会社は関西エアポート株式会社として再スタートをきる。日本での空港民営化は仙台空港が先行していたが、会社設立が2月であるものの経営開始は6月なので、完全民営化した会社が日本国内で空港運営をする第1例となる。

(関空はもともと新関西国際空港株式会社という民間の会社ではあるが、株主はほぼ国土交通大臣という国のコントロール下にある企業であったので、この記事では民営化という表現を使わせてもらった。)

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そもそもなぜ民営化した?

関西国際空港が開港したのは1994年、しかし実際に建設が開始されたのは1980年代、つまりバブル真っ盛りで土地の値段が猛烈に高い時だった。また騒音問題を避けるために海上に埋立地を作る形での建設となったので、建設費も膨大なものであった。そのため今日まで運営会社となっていた「新関西国際空港株式会社(以後:新関空会社)」は1兆2千億円なんていう返す当てもない借金を背負っていた。

この借金を返すのが民営化(運営権売却、いわゆるコンセッション)の真の目的だった。

また前述の通り、現在は株主のほとんどが国であるため、国のコントロール下にあり、柔軟な運営ができずにいた。それならば、国のコントロール下から脱し、民間のいわゆる経営のプロに託そうではないかという目的もあった。

運営権を落札したのはどんな会社?

オリックス・ヴァンシ・エアポートなどが作る企業連合が約2兆円で落札した。オリックスと言えば野球球団もあるくらいの関西を代表する資金力のある金融リース会社だ。しかしもう一個の「ヴァンシ」って何?

カタカナで書くとわからないが「Vinci airport」と書くと、ヨーロッパなどを旅していた方ならカートについていたロゴなどで記憶があると思う。そう、フランスやポルトガル、そしてカンボジアで合計24の空港を運営する、空港運営のスペシャリストなのだ。

利用者へのメリットを検証

国や新関空会社は、今回の民営化で「便利になる!」というメリットばかりを強調する。目立った利用者へのメリットである2点を検証する。

サービスが向上する

空港運営のプロが経営する方が、空港の利便性が向上する。素直に受け取ればその通りだ。しかし民間企業には利益というキーワードがいつもつきまとう。利益が稼げなくなれば、問答無用で店舗閉鎖やサービス削減が行われるだろう。このストーリーが実際にあれば、サービス向上どころか低下を招くことになってしまう。

しかしこの最悪の展開をストップすべく、今回落札企業連合には東京三菱UFJ銀行やパナソニック、関西電力、大林組など関西のみならず日本を代表する企業が数多く含まれている。これが抑止力となって、一方的な利用者へのサービス低下は防げるはずだ。

ヨーロッパ路線の便数が増える

Vinci Airportはフランスやポルトガルで空港運営を行っているから、ヨーロッパの航空会社と関係が深く、それら航空会社の関空への就航や便数増加が期待できるという。

しかしこれに関してはかなり懐疑的だ。関係が深いとはいっても航空会社こそ利益を求める生き物。現在日本路線は円安や旅行離れの影響もあっていわゆる「稼げない路線」として外資航空会社内では扱われている。そして地方空港とつながる羽田空港ならば日本全国からの集客が期待できるが、関西の集客は関西地方のみ。集客力のない関空なんかに便を飛ばす意味はない。

関空の2016年夏スケジュールの便数が過去最高を記録というニュースが流れた。しかしその便数に占める格安航空会社LCCの比率は30%を超える。LCCは就航するのも早ければ撤退するのも早い。LCC専用の空港となりつつある関空に、ヨーロッパからの長距離路線を誘致できるか、ヴァンシのお手並み拝見だ。

新関空会社には、三井住友銀行の元副頭取だった安藤圭一という有能な社長がいた一方で、国土交通省から出向や天下っていた、経費を使いまくるなど民間企業にそぐわない上層部がいたのも事実。民間企業が入ることで凝り固まった公務員的体質の組織を崩す、それこそが今回の運営権売却の一番のメリットではないか。5年後の「関西エアポート株式会社」が楽しみだ。

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