早期退職制度に応募する前に知っておくべきこと(30歳で応募した私の話)

   

早期退職制度、会社が退職金を多く支払いなどして社員数を減らす制度。会社の経営状況が悪くなってきたときなどに行われるが、この制度の対象はほとんどの場合が給料がある程度上がってしまった40代以上や50代以上の中堅・ベテラン社員だ。

数年前に私が勤めていた某電機メーカーでも早期退職制度が実施された。しかしその対象は「入社3年目以上、25歳以上」という他に類をみない若手までを対象としたものだった。私は当時30歳を過ぎたばかり。応募する?しない?私は迷わず応募した。その経緯をお話しする。

スポンサーリンク

いくらもらえるの?

制度が書かれたパワーポイント説明資料が会社のEmailで対象全社員に配布された。それによると35歳までは一律で給料10ヶ月分を本来の退職金とは別に支給する。36歳以上50歳以下までは年齢1歳ごとに給料数ヶ月分が増えていき、51歳から59歳までは年齢1歳ごとに減っていくという制度。一番もらえる50歳は給料5年分(約3000万円~4000万円)もらえる計算になっていたと思う。

私の年齢だと、約240万円くらいもらえる計算。50歳の人に比べると少なく感じるが、私は応募開始初日に人事へ応募書類を提出した。これが事実上の退職届となる。

即日応募できた理由

1.転職エージェントで自分の市場価値が把握していた

何よりもこれが大きかったと思う。この早期退職制度が始まる1年くらい前から、転職エージェントのカウンセリングを受けていて、自分の今の給料が少ないことはわかっていた。一部上場企業の海外営業で6年、年収は400万円(総支給額)に届いていなかった。

転職エージェントは紹介料で食べている会社。彼らの言うことをすべて鵜呑みにすることは危険だが、最低でも年収50万円は上がることが分かっていた。

2.独身だった

家族がいたら踏み切りづらいとは思う。私は幸か不幸か独身であった。だから躊躇することはなかった。しかしある転職先で同時期に中途入社した10人のうち半分は既婚者でその全員が子持ちというケースもあった。ひょっとしたら未婚か既婚かなんて、関係ないのかもしれない。

3.会社の帰属意識が薄かった

実はこの某電機メーカーは、私が内定をもらった直後くらいから経営が悪化した。大学4年の10月に内定式として集められた際に配られた紙には「給与カットのお知らせ」。なんと入社前から5%の給与カットを告げられていた。

それがすべてではないけど、この会社への帰属意識というのは持っていなかった。

4.会社都合退職にしてくれる

1で書いた「市場価値を把握していること」も大事だが、もう一つこの決断をするのに大事なのは、今回の退職が「会社都合」なのか「自己都合」なのかということ。これは失業保険の受給に影響する。

失業保険は職業安定所(ハローワーク)に申請し、失業中のサポートとして国から給付されるもの。しかし退職の仕方によって受給開始時期が異なる。

失業後必要書類を持ってハローワークに行き、説明会に参加し、再度ハローワークで「あなたは失業者です」と認定される。「会社都合」で退職したら、この認定された日から失業保険が支給される。しかし自己都合だとこの認定日から3か月後からしか失業保険が支給されないのだ。

私の場合1日あたり4000円くらい支給されていたので、月々13万円くらいほぼ何もせずとも失業した翌月くらいから銀行口座に3か月間振り込まれ続けた。(もちろん就職活動と月に一度のハローワーク訪問はしていたが。)

退職金にかかる税金

退職した人間からも税金を取るのが、日本という国。早期退職制度に応募する前にこの点も調べていた。

1.退職所得控除額を知る

退職所得控除額、つまり自分のもらう退職金のうち、税金がかからない課税非対象となる金額はいくらなのかをまず計算する。

  •  勤続年数が20年以下の場合:40万円Ⅹ勤続年数
  •  勤続年数が20年超の場合:800万円+70万円Ⅹ(勤続年数-20)

いくつか例をあげると、

  • 私は勤続年数が6年と1ヶ月なので7年(切り上げ)で計算され、40万円Ⅹ7年で280万円までの退職金であれば税金は一切かからない。
  • もし勤続年数が25年7カ月の人の場合は26年(切り上げ)で計算され、800万円+70万円(26-20)=1220万円を超える部分にのみ退職金がかかる。
2.実際にかかる税金は?

これは若干複雑である。

まず私の退職金支給額は早期退職制度での増額分を合わせて約280万円、前項での計算式によると280万円まで非課税なので、1円も税金をとられなかった。

では同じく前項の勤続26年の人は?例えばこの人が2000万円の退職金をもらえたとする。課税対象となるのは、2000万円-1220万円=780万円である。

以下の計算式に当てはめると、この人は4行目の696~900万円のところになる。

(780万円Ⅹ税率23%‐控除額636,000円)Ⅹ102.1%=1,182,318円が支払う税金となる。

課税対象額(A) 所得税率 控除額 税額計算式
195万円以下 5% 0円 ((A)×5%)×102.1%
196~330万円 10% 97,500円 ((A)×10%-97,500円)×102.1%
331~695万円 20% 427,500円 ((A)×20%-427,500円)×102.1%
696~900万円 23% 636,000円 ((A)×23%-636,000円)×102.1%
901~1,800万円 33% 1,536,000円 ((A)×33%-1,536,000円)×102.1%
1,801~4,000万円 40% 2,796,000円 ((A)×40%-2,796,000円)×102.1%
4,001万円以上 45% 4,796,000円 ((A)×45%-4,796,000円)×102.1%

参考URL:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2732_besshi.htm)

転職するデメリット

これは人次第なのでさらっと触れたいが、一度転職すると2回目・3回目と転職することに対する恐怖心が薄れる。私はその後2回も転職を繰り返してしまった。

当然のことながら1社での勤続年数が長いほど退職金の額も増える。私が60歳になったときにもらえる退職金を考えれば、どちらが得だったのかはわからない。

ただ自分としては違う会社を見れたということに意義を感じているので後悔はないが、このリスクは決断前に一応考えるべきとも思う。

 

 - 体験レポート