デルタ航空が日本からいなくなっちゃう?~日米航空交渉合意~

      2016/04/02

先週、「羽田‐ニューヨーク線、38年ぶりに復活を検討」というニュースが流れた。日本の航空会社が羽田からニューヨーク線を運航することになれば、1978年5月に成田へ国際線が移されて以来38年ぶりだそう。

JALとANAが羽田からニューヨークに!日本人からしたら、大変うれしいことではないか。しかしこの日米航空交渉が合意に至るには紆余曲折あった。しかもどっちかっていうとアメリカ側がすごい揉めていて、特にデルタ航空が怒っているらしい。一体何があった?

なんで羽田のアメリカ行きは深夜だらけなの?

この合意がされるまで、日本とアメリカの間で「羽田とアメリカ国内の間は、日米航空会社併せて8往復まで」という決まりがあった。しかも、飛べる時間帯も夜23時~朝6時の深夜時間帯に限定されていた。

ただこの時間帯に限定されていたのは、アメリカ線だけでなくヨーロッパ線やアジア線も一緒であり、現在も総じて深夜帯のフライトが多い。これは国内線で昼間の発着枠がいっぱいだから。しかし新しく滑走路を作ったりして発着枠を増やし、今では昼過ぎにドイツ行きがあったり、昼前にパリ行きがあったり、しかもカナダ行きだって夕方に飛んでいる。でもアメリカ線は深夜のまま。

この理由として「日米航空交渉が難航していたから」と説明されていた。でもお互いにとって便利になるのに、何を難航することがあるのだろう?

デルタが怒った、なぜ怒った?

デルタ航空、日本では少し馴染みが薄い航空会社かもしれないけれども、世界で第3位の旅客運送数を誇る航空会社。2008年にノースウェスト航空と合併して、現在のデルタ航空となった。

デルタ航空としては日本とのつながりは薄いが、合併したノースウェスト航空は、それこそ日本の航空会社が国際線など飛べなかった頃から日米間を結んでいた。そして成田空港が開港した1978年、「今後は羽田は国内線専用にするので、国際線は成田にしましょう」と決めたとき、日本政府の言う通りにノースウェストさんにも成田に移っていただいた。

旧ノースウェストことデルタ航空は、成田でがんばってくれた。何をがんばったかというと、アジアの国と北米への中継地点「ハブ空港」として成田を使っていただき、その成田に整備施設やら整備クルーやら、機内食工場やら、いっぱい投資して、いっぱいお金を使ってくれた。

そんな成田に尽くしてくれたデルタ航空は怒った。なぜなら「羽田の北米路線を便利にしよう!」なんて日米が言い出すから。じゃあ成田はどうなるの?成田から飛ぶ人減っちゃうでしょ?これがデルタが怒っている理由。

配分は米国航空会社で6往復

2016年2月の航空協定で合意されたのは、現在ある深夜帯の8往復の枠を、昼間10往復/深夜2往復の計12往復の枠に増やすというもの。この12往復が半々で日米の航空会社にそれぞれ配分される。日本に乗り入れているアメリカの航空会社4社あり、デルタが得られる枠は1~2往復のみだろう。

羽田でがんばればいいじゃん!?頑張ろうにも枠がないのだ。1~2枠で羽田に絞るのも不可能なので、もちろん成田も継続する。つまり整備など2か所でコストがかかることになり、デルタ航空にとって悪い事だらけなのだ。

日本で仲間外れのデルタ航空

JALはアメリカン航空、ANAはユナイテッド航空とマイレージやコードシェア(同じ飛行機を共有する)など、これらの航空会社はそれぞれ協力しあって、日米路線を運航している。でもデルタ航空には仲間がいない。スカイマークの支援に名乗りを挙げたのも、日本で仲間が欲しかったから。

仲間がいることは羽田で優位性を発揮する。羽田は地方空港とJALやANAの飛行機で結ばれている。地方からJALやANAで飛んできたお客さんは、羽田で仲間の航空会社に乗り継ぐ。こういうことがデルタにはできない。

すごく長くなったけど、そんなこんなでデルタが怒って、今回の航空交渉が難航していたらしい。

サンフランシスコ、ロサンゼルス、シアトル、西海岸だらけの就航地

今回ニュースでは、羽田からニューヨーク線が飛ぶことを大きく取り上げた。でもなんで今まで深夜でも飛んでなかったのだろうか?

深夜帯であることは、利用者が単純にその時間に空港に行きにくいっていう欠点があるけれども、もう一つ難点なのは、ニューヨークなどの東海岸に深夜23時以降の便を飛ばした場合、最も早くニューヨークに到着しても夜23時。そんな夜遅くにニューヨークに着いても、正直困る。

現に2011年に就航したアメリカン航空の羽田‐ニューヨーク線は、2年で撤退したという経緯がある。

こんな背景があり、羽田から直行でいけるアメリカは、西海岸の都市に限られていた。

デルタはまだ怒ってる?

おそらく怒っている。「成田のハブ機能(デルタは日本からアジアへ飛行機を飛ばす権利(以遠権)をもっている)をできるだけ長く継続できるように頑張る」と言っているが、「できるだけ長く」というところに恨み節を感じ取れる。

今この段階でデルタがすぐ撤退ということはないけれども、今後「日本なんかもういい」ってなったら、このまま運航を継続してもらえる保証はない。

今回、便利になったことが非常にフューチャーされて、非常に喜ばしいことだったんだけれども、便利の陰でこんな不義理が行われていたことは、覚えておきたい。

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